知り合いの英語学習者で、TIME 誌の英文はとても素晴らしいと褒める人がいたので、今日、30年ぶりくらいに彼から借りて読んでみた。
1年ほど前の、 fusion (核融合)の特集号だったが、科学的テーマを扱うにしては表現があまりにも文学的で、核融合についての詳しい説明はほとんどなかったように思う。
例えば、以下の表現とか。

When you torture plasma with temperatures and pressures like these, it becomes wildly unstanable writhes like a cat in a sack.

こんな表現がやたら多く、読んでいてイライラさせられた。
物理現象をこんな風に擬人化して表現するくらいならば、核融合の化学式の一つ、あるいは物質とエネルギーの等価変換を示したアンシュタインの方程式を載せてそれを解説した方が、読者は核融合についてよっぽど深く理解できるだろうに。
この記事を書いたのは、凝った英文を書くことは知っているが物理や科学やテクノロジーについてはまったく素養のない文系の記者なのだろう。
TIME は小1時間ほどで読み終えたが、どれも文章が素晴らしいだけで中身はたいしてなかったように思う。

もっとも中身がないというのは、必ずしも悪いことではないとも思う。
鮭は中身よりも皮の部分が圧倒的においしいし、北京ダックだって皮だけを食べて後は捨てるくらいだから。(喩えが適切でないかもしれないが・・・・。)
TIME も文章が凝って素晴らしければ、内容はなくってもいいのだろう。

TIME を一言で評価するならば、外国語として英語を学ぶ人専用の時事雑誌で、英語は多少できるが英語以外には専門知識も一般的教養も持ち合わせていない文系の英語学習者のためのリーディング教材。

久しぶりに、家の近くの公園に寄ってみた。
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先週のEU離脱を決めたイギリスの国民投票を、The new york times などのメディアはreferendumを使っていた。
個人的には国民投票の英語は、plebisciteという単語の方により馴染みがあったのだが。
2年前、スコットランドで行われたThe UK からの独立を問う国民投票、これはplebiscite を使う新聞と、referendumを使うメディアとに分かれていたように思う。
The financial times は Scotland's independance plebiscite などと使っていた。BBCは the Scottish independence referendum などを使っていた。

今回のEU離脱を決めるような国民投票では、referendumの方が適切なんだろう。
僕のイメージだとだいたいこんな感じだ。
連邦制の国家で一地方(構成国家)が分離・独立の是非などをを国民投票にかけて決める場合は、plebiscite を使う。
また、plebiscite は占領下や軍政下のでおこなわれる国民投票に使われることが多く、plebiscite は占領からの独立、軍政から民政へ移行するプロセスとしての国民投票に用いる。
一方もともと民主的な社会で、憲法改正などの重要事項を政治家に任せずに国民投票にかけて直接これを決める場合には、referendum を使う。

気になったので、ちょと調べてみた。
Both words are very similar although Plebiscite has become more commonly used to denote a change in sovereignty.
plebiscite; a direct vote of the people of a country to decide a matter of national importance.
referendum; a direct vote by all the people to decide about something on which there is strong disagreement, instead of the government making the decision.

ロングマン英英辞典だと、両方に次のような例が載っていた。これだと意味もニュアンスもほぼ一緒だ。(爆)
a referendum on independence
a plebiscite on independence
⇒Differences between a plebiscite and a referendum
As I was running, it began to sprinkle, then rain in earnest. I escaped into the nearby botanical garden.
I could luckily avoid getting wet under the tall trees that have thick, fleshy leaves. What' s more, the hydrangeas in the rain were a visual feast !

紫陽花5


雨に関する英語の表現で思い出すのは、It rains cats and dogs.(土砂降り)という慣用句。
たしか、中学か高校の英語の授業で習った。
だけど、これまで膨大な量の英文を読んできたが、この表現には一度も出くわしたことがない。
古い表現で、今ではほとんど使われていないのだと思う。(学校英語はこんな古い慣用句を教えるよりも、他にもっと教えることがいっぱいあると思うのだが。)
以前、この表現を知っているか、知り合いのアメリカ人女性に尋ねたことがある。
知っていると、彼女は答えた。
だけど、彼女は英文学が専攻だからたまたま知っているだけで、市井のネイティブでも普通に使うのだろうか?
この疑念は今でも残っている・・・・(爆)

ちょっと調べてみたら、この慣用句が最初に現れたのは、ジョナサン・スウィフトが1738年に書いた、A Complete Collection of Polite and Ingenious Conversation という本の中でだそうだ。
ジョナサン・スウィフトはガリバー旅行記で有名な作家。
⇒Raining cats and dogs

この本の中の、次のような一節で初めて使われたそうだ。
“I know Sir John will go, though he was sure it would rain cats and dogs”
⇒サー・ジョンは行くだろう、彼にも土砂降りになることはわかっていただろうが。
途中何度も放り投げながら、1年近くかかってキングの "It" をようやく読了。
Kindle 表示で1400ページほどの長編で、これ以上長い小説はたしか高校のときに読んだトルストイの 『戦争と平和』 くらいです。(爆)
たぶんキングが作家として一番脂ののりきっていたときの作品で、彼の圧倒的な筆力にノックアウトをくらいました。

ただ、キングの英文はwordyで語順なんかもちょっとくせがあるから、一読しただけではよくわからない箇所もあった。
適当に一つ選ぶならば、例えば以下の表現とか・・・

the booklet went on to warm that a slingshot could be dangerous; the owner should no more aim one of the twenty ball-bearing slugs which came with it at a person than he would aim a loaded pistol at a person...
ガイドブックによれば、実弾を込めたピストルを人に向けてならないと同様、
20発添付の玉を入れたスリングショットを人に向けてはならない。同じくらい危険な行為だ・・・

たぶんこんな意味だと思うが、一読しただけではよくわからなかった。
キングは学校英語では絶対に習わないような口語表現も多く、アメリカのポップカルチャーなんかもふんだんに出てくるから、それらの背景知識がないとちょっとしんどいのかもしれない。

もう一つ例を挙げれば、
so scared, he was nearly creaming his jeans but laughing wildly all the time.
怖くてジーンズにちびるところだったが、それでもその間中ずっと笑いころげていた。
たぶんこんな意味だと思う。creaming his jeans は「ちびる」という意味だと、昔、どこかで聞いた記憶があるから。
辞書やネットで調べたわけではないから、間違っているかもしれないが・・・

⇒やっぱり間違えていた。(爆)
ネットで調べたら、cream your jeans はスラングで、premature ejaculation だそうです。
「ちびる」には両方の意味があるから、そんなに離れていないか・・・。

キングは比喩表現がとてもうまいと思う。
いくつか例を挙げれば、

The huge sunflowers nodded sagely togather.
巨大なひまわりが一緒になって物知り顔におじぎをした。

His eyes looked like rasins pushed into dark circles of sweat.
彼のひとみは汗で黒ずんだ眼のくぼみの中に押し込まれた干しぶどうのように見えた。

昔はハンサムだったが今は太ってその面影もないということを、キングはこんな風に表現する。
The sharp, handsome features I remenbered were buried in an avalanche of flesh. するどくハンサムだったかっての彼の姿は、今では肉のavalanche(なだれ)の中に埋もれていた。

キングはこうした比喩表現が豊富で、彼の英文は読んでいてとても楽しい。
あるサイトでネイティブの読者も、キングの言葉の使い方についてこんな風に絶賛していた。
I love King's way with words. That's what has kept me going…

ちょっと疲れているので、 "It" の詳しい感想は後ほど書きます。
個人的には "It" は、キングの最高傑作だと思う。

4月から、NHKの語学講座、『実践ビジネス英語』 を再開しました。
どうせ途中で飽きてやめるだろうけれど・・・。
PCでエアチェックしたものを、Googleドライブでスマホに落として、休日に近くの公園に出かけてまとめて聞いています。
その後は自分でもテキスト文を articulate して それを Hi Quality Rec というスマホアプリで録音し、放送で聞いた音と自分の英語の音がどう違うかをチェックしています。
できるだけテキスト全文を丸暗記してそらんじるように努めながら・・・。

⇒Stephen King の文体について


まだ「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を見ていない。
3D版を見ようと思うが、それだと日本語吹き替えしかないのでそれが残念。
スターウォーズシリーズはいつも英語で見ているから、日本語吹き替えだと少し違和感がある。

ずっと昔、はじめてエピソード4を見たとき(京都の河原町の映画館で見た)は自分はまだ学生で海外生活の経験もなく、リスニングもあまり得意ではなかった。
それでも字幕を見ないでほとんど分かったから、スターウォーズの英語は優しいのだろう。
とくに、エピソード4~5までの Luke Skywalker編はリスニングが簡単だったと思う。
エピソード1~3のAnakin Skywalker編では、異星人が変な英語でしゃべってくるから、それがちょっと分かりずらかった記憶があるが。

1,2年ほど前、ディズニー映画の「塔の上のラプンツェル」を地上波テレビで放映しているのをたまたま見た。
とても分かりやすい英語だった。
ディズニー映画は英語が分かりやすいという評判をよく聞くが、「塔の上のラプンツェル」を見て、私も納得できた。

今回のスター・ウォーズはそのウォルト・ディズニー社の製作だから、英語のリスニングも簡単なのではないだろうか?

去年の暮、長居公園でランニング後、植物園で休息したときの写真↓
冬の植物園は来訪者も少なく、枯葉が落ちているだけで花もなかった。
スマホで撮った写真を、カメラ360でミニチュア風エフェクトをかけてみました。
落ち葉1

秋の夜長に、Stephen King のホラー小説、「It」 をのんびりと読んでいる。(「It」 は、Kindle 表示で1376ページの長編。)

「It」 を読みながら、King の文章はある意味、とても俳句的だと思った。
俳句の手法の一つに、小さな一点にフォーカスして全体の情景やその場の雰囲気を詠むという方法があると思うが、
⇒たとえば、飯田蛇笏の有名な句、
「芋の露、連山影を正しうす」
晩秋の芋畑の葉に降りた朝露、その向こうに雄大な山々が威儀を正しくしている。そんな意味の句だと思う。(芋の葉に降りた朝露が広大な山々を映し込んで光っている、という意味かもしれない? まあ、解釈は読む人の自由だと思うが。)

とても俳句的だが、King もこうした手法をよく使う。

たとえば、いま読んでいる 「It」 の書き出しでも、
道路わきにあふれた排水溝にはかなげに浮かぶペーパークラフトの小舟にフォーカスしながら、大洪水とこれから起きる殺人事件を暗示していく。

また 「It」 の中から無雑作に抽出すれば、少年が全力でこぎ出して自転車の速度が一気にアップしていく様子を、小さなトランプカードにフォーカスしながら次のように書く。

The cards clothespinned to the fender-struts stopped firing single shots and started machine-gunning.
「自転車の泥除けを支える棒(fender-struts を日本語で何と呼ぶのか知らない)、そこに洗濯ばさみで括り付けたトランプが風にゆれだし、単発銃の音からマシンガンのうねりへと変わった。」

King の、こうした細部の一点にフォーカスして全体の情景や雰囲気を描写する手法は、とても俳句的だと思う。

また、King の文体は俳句のように、簡潔でvivid。
上の1行もそうだが、以下の数行でも

Up ahead of them, in the trainyards, a diesel engine revved slowly up, faded off, and then began to all over again.
Onece or twice they heard the metallic music of couplings being smashed togather.
「彼らの前方のトレーンヤード、そこでディーゼルエンジンがゆっくりと回転数を上げる、回転数を下げる、それからまた上げる。1、2回と、彼らは連結器がぶつかってかなでる金属音を聞いた。」

もちろん、King の文体は多面的だから、一言では定義できない。
King は途中で放り投げたくなるほどくどくどと長ったらしい文章も多いが、それもメインストリーにまったく関係ないような細部にこだわって、そうした中で、上に引用したような簡潔でvivid なlines に出会うとほっとする。

個人的には、King の文体がとても好きだから(うんざりすることも多いが)、それを味わいながら、秋の夜長をのんびりと過ごそう。

以下は、King の中編小説、「The Body」の書き出し部分から。(映画のタイトルは、Stand By Me。)
やたらくどくて饒舌というKing のもう一つの面が出ていると思う。 こういった部分もわりと好きだ。(爆)

"The most important things are the hardest to say. They are the things you get ashamed of, because words diminish them -- words shrink things that seemed limitless when they were in your head to no more than living size when they're brought out.
But it's more than that, isn't it?
The most important things lie too close to wherever your secret heart is buried, like landmarks to a treasure your enemies would love to steal away.
And you may make revelations that cost you dearly only to have people look at you in a funny way, not understanding what you've said at all, or why you thought it was so important that you almost cried while you were saying it. That's the worst, I think... "


たまたまユーチューブで見つけたのですが、Arthur C. Clarke が1976年のインタビューで未来のスマホについて語っていました。

Arthur C. Clarke は大好なSF作家で、『幼年期の終り』 や 『2001年宇宙の旅』 や 『宇宙のランデブー』 などの代表作だけでなく、彼の作品はほぼすべて読みました。『2001年宇宙の旅』 はスタンリー・キューブリックの映画で有名ですが、小説も同じくらいおもしろい!

でもやっぱり一番好きなクラーク作品は、『幼年期の終り』 です。
人類をはるかに凌駕する知性を持った宇宙人(オーバーロード)との交流を通して、人類は幼年期を脱し、徐々に高次の種へと進化していく。
オーバーロードをはじめて見たとき、人類はその姿に驚く。
太古の昔から人類にはなじみの姿だったから。
まるでユング心理学の 『集合的無意識』 が具象化されたかのように・・・

『幼年期の終り』 は、SFというよりクラークの終末論であり、西洋文明・キリスト教文化への批判でもあったと思う。
SFというジャンルを超えた、20世紀を代表する傑作。

インタビューに戻せば、ためしにスマホに関して語っている部分をディクテートしてみました。
7行目の、but you know・・・ then you might have to explain・・・あたりがちょっとよく分からなかったのですが・・・(汗)





The wristwatch telephone will be technologically feasible very soon. And so the telephone will no longer be sort of fixed in one place, it will be completely mobile. And this would again restructure society.
And of course( or also?) it has disadvantages as well as advantages.
Anyone can get at you anytime you like.
Of course you could switch off the calling sign, but you know… then you might have to explain later? why it was switched off.
But the advantages are so great, the number of thousands of lives saved every year by such a thing and it seems to me to override almost all other considerations….

スマホ(wristwatch telephone と呼んでいるから、Apple Watch をすでに予言していた?) がいつもつながっているのが嫌で電源を切っていたら、後でその言い訳をしなければならないというのは、1976年の未来予想図としてはおもしろかった。
ちなみに、スティーブ・ジョブズがアップルコンピューターを起業して、Apple-1 を売り出したのも 1976年です。
アップルが iPhone を出すのはほぼ30年後のことですから、クラークは1976年すでにスマホについて正しく予言していた。

他の予言、地球がより身近になってどこへでも簡単に行けるようになるから、ローカル時間(Time zones)がなくなるという予言は思いっきり外していましたが・・・(爆)

参考記事
「星を継ぐもの」、SF史上に燦然と輝く傑作