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最近は、更新も不定期で遅れがちですが、今月でブログを始めてちょうど2年目になります。(書きたい素材はいろいろとあるけれど、それを言葉という形に具象化していく作業に疲労と戸惑いを感じてしまうこの頃。)

今回は、久しぶりにSF小説について書いてみます。

去年(2010)の7月に、SF作家のJames.P.Hoganが亡くなりました。
彼はもっとも好きなSF作家でした。

以前にこのブログで、"Thrice Upon A Time"「未来からのホットライン」という彼の小説を紹介しました。

これは、タキオンを使って過去の自分と通信をするという物語です。(タキオンはマイナスの質量を持った粒子。その質量は自然数ではなく、虚数単位を使って定義されます。それの波動を利用して、時間を反転(虚時間を発生させる?)させて、過去と通信するという物語。)

もちろん、こうした試みには、必然的にパラドックスが憑いてまわります。
たとえば、「未来からのホットライン」では、グラスが割れるから注意しろというメッセージが2分後の自分から送られて、それためにグラスをどかしてグラスが割れないという現象に遭遇します。
グラスが割れた未来はどこへ行ったのか?
グラスが割れないのならば、そもそも、何故、こんなメッセージが未来の自分から送られてきたのか?
このパラドックスをめぐって、さまざまな解釈や議論が展開していくけれど、そこがこのSFの面白い部分でもあります。

パラドックの解釈については(注1)を参照してください。

話が脱線してしまいましたが、今回は、彼の処女作、"Inherit The Star"「星を継ぐもの」の紹介したいと思います。
読者投票のオールタイム・ベストSFには必ずノミネートされる、SF史上に燦然とかがやく傑作でもあります。

205X年の近未来。
月の資源の調査をしていた一行が、月の渓谷の中に人間の遺体を発見する。
調査の結果、この人間は月面基地のどこの部署にも所属していないこと、さらには5万年前に死んだ人間の遺体だということが判明します。
5万年前の人間の遺体が、何故、月の渓谷の中にあるのか?
(遺体の炭素同位体の崩壊率から、年代測定はほぼ間違いないことが確証されている。)

5万年前の人類は誕生したばかりの旧石器時代。
月へ飛行する技術など持っているはずもない。

この謎を解明するために、世界中からさまざまな分野の学者たち、医者、歴史学者、言語学者、考古学者、人類学者、生物学者、遺伝学者、物理学者などがチームを組んで、この謎を解明していくという物語。
さまざまな仮説が提示され、検証され否定されて、さらに新たに仮説が提示されていく。
ついには、一つの仮説へと収束されていく。
それは、人類誕生の謎が解明される瞬間でもあった。。。

ハードSFの傑作であるだけではなくて、ミステリ小説としても断然に面白い!

「辻斬り書評」というブログでは、こんな言葉で紹介されていました。

「未読者は幸せである。得難い愉悦に、これからたっぷり淫することができるのだから。」

現在、星野之宣氏によって漫画化もされて、ビッグコミックに連載中です。
(ビッグコミックは、ぼくがいまでも購入している唯一のマンガ雑誌です。)

やっぱり、James.P.Hoganでは、"Thrice Upon A Time"と、この"Inherit The Star"が好きですね。

英語のレベルとしては、個人的には平易で読みやすいと思いました。日本語では読んでいないのですが、池央耿の翻訳は名訳だという評判です。



おススメ度<★★★★★>

(注1)
たとえば、過去に戻って自分の先祖を殺すとか。
それが成功したらそもそも自分は存在しないはずで、何故、先祖殺しが可能になるのか?
タイムトラベル系のSFには、こうした因果律の破たんがつねについてまわります。
H.G.Wellsの有名なタイムマシンは、数十万年後の未来への飛行に設定することで、この因果律の破たんを回避しています。基本、タイムマシンでの未来への飛行は、いまの物理学でも理論的にも技術的にも矛盾なく成立します。ただ、その飛行は一方通行で、未来から現在に戻ることはことは原則的に不可能です。
バックトゥーザフーチャーでは、多世界解釈(パラレルワールド)を採用ていたように思います。(同時にパラレルワールドが存在しており、そこには別の選択をして別の人生を生きる自分が存在しているという設定。)
ターミネーターでは、量子力学でいう、"重ね合わせ"が採用されている?
機械が支配する未来とそれを回避する未来のどちらにもまだ収束されていない状態。いわゆる、"シュレディンガーの猫が、同時に生きかつ死んでいる重ね合わせの状態で、そのどちらにもまだ収束されていない宙ぶらりんの状態

参照記事
「未来からのホットライン」 ジェームス・P・ホーガン

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テーマ:読んだ本の感想等
ジャンル:小説・文学
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