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秋の夜長に、Stephen King のホラー小説、「It」 をのんびりと読んでいる。(「It」 は、Kindle 表示で1376ページの長編。)

「It」 を読みながら、King の文章はある意味、とても俳句的だと思った。
俳句の手法の一つに、小さな一点にフォーカスして全体の情景やその場の雰囲気を詠むという方法があると思うが、
⇒たとえば、飯田蛇笏の有名な句、
「芋の露、連山影を正しうす」
晩秋の芋畑の葉に降りた朝露、その向こうに雄大な山々が威儀を正しくしている。そんな意味の句だと思う。(芋の葉に降りた朝露が広大な山々を映し込んで光っている、という意味かもしれない? まあ、解釈は読む人の自由だと思うが。)

とても俳句的だが、King もこうした手法をよく使う。

たとえば、いま読んでいる 「It」 の書き出しでも、
道路わきにあふれた排水溝にはかなげに浮かぶペーパークラフトの小舟にフォーカスしながら、大洪水とこれから起きる殺人事件を暗示していく。

また 「It」 の中から無雑作に抽出すれば、少年が全力でこぎ出して自転車の速度が一気にアップしていく様子を、小さなトランプカードにフォーカスしながら次のように書く。

The cards clothespinned to the fender-struts stopped firing single shots and started machine-gunning.
「自転車の泥除けを支える棒(fender-struts を日本語で何と呼ぶのか知らない)、そこに洗濯ばさみで括り付けたトランプが風にゆれだし、単発銃の音からマシンガンのうねりへと変わった。」

King の、こうした細部の一点にフォーカスして全体の情景や雰囲気を描写する手法は、とても俳句的だと思う。

また、King の文体は俳句のように、簡潔でvivid。
上の1行もそうだが、以下の数行でも

Up ahead of them, in the trainyards, a diesel engine revved slowly up, faded off, and then began to all over again.
Onece or twice they heard the metallic music of couplings being smashed togather.
「彼らの前方のトレーンヤード、そこでディーゼルエンジンがゆっくりと回転数を上げる、回転数を下げる、それからまた上げる。1、2回と、彼らは連結器がぶつかってかなでる金属音を聞いた。」

もちろん、King の文体は多面的だから、一言では定義できない。
King は途中で放り投げたくなるほどくどくどと長ったらしい文章も多いが、それもメインストリーにまったく関係ないような細部にこだわって、そうした中で、上に引用したような簡潔でvivid なlines に出会うとほっとする。

個人的には、King の文体がとても好きだから(うんざりすることも多いが)、それを味わいながら、秋の夜長をのんびりと過ごそう。

以下は、King の中編小説、「The Body」の書き出し部分から。(映画のタイトルは、Stand By Me。)
やたらくどくて饒舌というKing のもう一つの面が出ていると思う。 こういった部分もわりと好きだ。(爆)

"The most important things are the hardest to say. They are the things you get ashamed of, because words diminish them -- words shrink things that seemed limitless when they were in your head to no more than living size when they're brought out.
But it's more than that, isn't it?
The most important things lie too close to wherever your secret heart is buried, like landmarks to a treasure your enemies would love to steal away.
And you may make revelations that cost you dearly only to have people look at you in a funny way, not understanding what you've said at all, or why you thought it was so important that you almost cried while you were saying it. That's the worst, I think... "


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