久しぶりに英語ネタです。
今回は趣向を変えて、"である調"で書いてみました。
英語の不定冠詞、名詞の可算、不可算の区分などについて書いてみます。これらは、日本人には取り扱いがとても難しい分野だと思うので。

ずっと昔、英語では冠詞と名詞は不可分なもので、この2つが一体となって、名詞の意味とその意味的カテゴリが決定されるのだと思っていた。

だけど20年ほど前、マーク・ピーターセンの「日本人の英語」を読んで、この考えは間違っていることに気づいた。

<日本人の英語>
この類の説明では、すでにあった、ちゃんとした意味をもった名詞に、a(an)は、まるでアクセサリーのように「正しく」つけられるものであるかのように思われる。
しかし、本当は逆である。すでにあった、ちゃんとした意味をもっていたのは、"a second glass of the old Madeira"の"glass"ではなく、その"a"である。そして、glassという名詞の意味は不定冠詞の"a"につけられたことによって決まってくる。・・・・・・・・

もし"つける"で表現するならば、"a"に名詞をつけるとしかいいようがない。・・・・・・・・

例えば、もし食べ物として伝えたいものが、一つの形の決まった、単位性を持つものならば、"I ate a..a..a hotdog!"(あるいはa sandwich, a rice ballなど)と、"a"を繰り返しつつ、思い出しながら名詞を探していくことになる。もし食べた物として伝えたいものが単位性もない、何の決まった形もない、材料的な物ならば、おそらく"I ate uh...uh..meat!"(あるいはfrench bread,riceなど)と思い出していうであろう。

マーク・ピーターセンによれば、ネイティブは、aやtheや無冠詞(これもカテゴリを表わしており、いわば無冠詞という冠詞)などで先に意味的カテゴリを決めてから、それから名詞を選んでいく。

"a glass"を例にとれば、先にあるのは"a"であり、"a"によって始めてグラスという一つの形の決まった、単位性を持つものが現れるようになる。
"a"は"glass"につくアクセサリのようなものではなく、むしろその逆なのだ。
"a"によって始めて、無形の材料的なガラス(glass)ではない、一個の形のある食器としてのグラス(a glass)のイメージが出現するというわけだ。

これは、"a"だけではなく、"the"や"無冠詞"でも同じことなのだ。
"the"も"無冠詞"も、それぞれ固有の意味的カテゴリを表わしており、それが決定されてから、名詞が選ばれていくのだ。(不定冠詞の"the"については、次の機会に書こうとと思っています。)

それから、英語辞書で名詞を調べると、たいていは可算名詞、不可算名詞と区分して表示されている。そして、可算名詞は不定冠詞の"a"か、複数を意味する末尾の"s"を伴い、無冠詞の裸のままで表現されることはないという。また、不可算名詞は、"a"なしの裸の状態で表現されるという。
だけど、名詞は可算とか不可算とかにあらかじめ決まっているのではなく、文脈によってどちらにもなりうるのだというのが正しい考え方なのだと思う。

例えば、以下のような例。(注1)
"I've played with a little stray dog for a few hours, and my hands still smell of dog."
また、これはちょっとむごいケースだけれど、
"There was cat all over the driveway."
→このように、可算名詞の代表であるdogやcatでさえ、文脈によっては不可算化する。

そしてこれは、不可算化(=無冠詞化)することによって、あらたな意味的カテゴリを得とくするので、無冠詞は単に冠詞がないというものではない。
(名詞の可算、不可算には例外があって、luck,advice,machinaryなどは抽象化の度合いが強すぎて、決して可算名詞にはなりえない。そして、こうした例外が多く、それが恣意的になされるということが、冠詞の習得を困難にさせているのだけれど。)

「日本人の英語」によって、曖昧模糊とした英語の冠詞が、少しだけ分かったような気がした。それまでは、冠詞は英語という言語世界の根幹にかかわっている存在だということはなんとなく分かっていたけれど、苦手意識がつねにつきまとっていた。

これ以外にも、単数・複数、時制や前置詞など、日本人の英語学習者が間違いやすいトピックを集中して取り上げており、まさに日本人にうってつけの英語の解説本。発売から23年経っているけれど、いまでもコンスタントに売れ続けている超ロングセラーでもある。

(注1) 例文の日本語訳
*数時間、ちっちゃい捨て犬と遊んだので、手にはまだ犬の匂いがしている。
*ドライブウェイの一面に、ひかれたネコの死骸が散らばっていた。
(dogやcatは無冠詞化することで、一つの形の決まった単位性をなくして、境界を引けない犬の匂いや散乱したネコの死骸の破片などを表現するようになる。)



参考記事
あいまいな日本語について
「40ヶ国語習得法」の感想文。
ボキャブラ本、"30 days to a more powerful vocabulary"

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テーマ:英語
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
自分は「aとtheの底力 -- 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界」で冠詞のイメージがだいぶつかめました。で、graded readersを読みまくってます。
もう少しレベルが上がったら「日本人の英語」を読んでみようと思ってます。ところでジーニアス英和辞典 第4版・和英辞典 第2版出ましたよ。
待望の発音完備!英辞郎、adice、dictionary.comのコンボでやってきた自分としては4800円かけて、環境を変えるかどうか悩んでいます。
2011/06/26(Sun) 23:54 | URL | 二郎 | 【編集
二郎さんへ
二郎さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

「aとtheの底力」は、評判のいい本ですね。
知り合いも、この本を褒めていました。

>待望の発音完備!英辞郎、adice、dictionary.comのコンボでやってきた自分としては4800円かけて、環境を変えるかどうか悩んでいます。

是非、4800円投資して、買われることをおススメします。
語学の学習には、いい辞書はなくてはならない伴侶ですから。
(GeniusMXの英和と和英が、8月末までは無料で使えるということで、インストしました。
英和の収録語彙が、ちょっと少ないかなとも思いましたが、5万語の音声データ付きとはいいですね。)

いま、アンドロイドでメインに使っているのは、研究社リーダーズ英和とロングマン英英です。Collins Cobuild Intermediate English Dictionaryが、例文が豊富で英作に便利だという評判なので、買おうかなと思っているところです。
2011/06/27(Mon) 19:23 | URL | sigeru | 【編集
買いました。が、多読中心の勉強方法だと、語義、文型中心の辞書の場合、使う必要性がないという
結論になりました。英辞郎の凄さを再確認し、発音をdictionary.comより早く聞けることは大きなメリットだと思うことになりました。インプットオンリーの時期を過ぎ、アウトプット導入時期に入った人にとっては効果的なのかもしれませんが、500万語読破ぐらい読むまではひたすら多読プラスインプットの生活をしていくつもりです。
最も、某サイト曰く「辞書引くな」「7割の理解でOK」「文法は不用」「単語を意図的に覚える必要なし」
等の発言には全く賛成できませんが、あれは商売でやってる以上、ある程度の誇大広告はしょうがないんでしょうね。Basic Grammar in Use、Grammar in Use Intermediate、改訂版ネイティブの感覚で前置詞が使える、perfect viewer、shoot me、辺りを神アイテムとして利用しまくってます。来年1月に初めて受けるTOEICまで突っ走ります!。そのときでも英語再学習歴1年の30代おっさんがどれだけスコアを取れるのか。。。。。
2011/07/01(Fri) 10:58 | URL | 二郎 | 【編集
この本、持っててよまないのは本当、宝の持ち腐れ(汗)よまなあかんですね(汗)
冠詞があってはじめて 概念が特定できるっていうの。。そうですよね・・・日本語にはない、冠詞の重要性を痛感します。

英訳でも結局、冠詞に一番、自信がなく、あやふや。。(汗)

週末はどのようにお過ごしかしら。ニュージーランドの女性は帰国しましたか?(笑)
2011/07/02(Sat) 18:00 | URL | 大阪の主婦 | 【編集
二郎さんへ
二郎さん、コメントありがとうございます。

>多読中心の勉強方法だと、語義、文型中心の辞書の場合、使う必要性がないという結論になりました。

そうですね。
多読中心でいくのなら、文法的な解説の辞書ではなくて、研究社リーダース英和などの辞書の方がずっと便利だと思います。余分なことを書いてしまったのではないかと少し後悔しています。(汗)
だけど、辞書ですばやく発音が聞けるのはとても便利ですね。
"Grammar in Use Intermediate"は、以前、アップルストアでセールをしていたのでわたしも買いました。

TOEIC、頑張ってください。
2011/07/03(Sun) 06:02 | URL | sigeru | 【編集
Re: 主婦さんへ
主婦さん、おはようございます。

冠詞によるカテゴリー分けという概念は日本語にはないから、英語の冠詞は日本人には難しい問題だと思います。
また、ロシア語や中国語など冠詞のない言語はいくらでもあり、冠詞はすべての言語に内在している普遍的な特質というわけでもないですね。

だけど最近では、"a"や"the"や無冠詞などの用法には、合理的に一貫した考えが潜んでいるのだと思っています。(一見、恣意的でデタラメなように見えても。。。)
いずれにしろ、冠詞は文法的に正しいかどうかという問題ではなく、対象をどうとらえるかという認知の仕方の問題だと思います。
>ニュージーランドの女性は帰国しましたか?
昨日、会っていました。
2011/07/03(Sun) 07:03 | URL | sigeru | 【編集
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