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アーサー・C・クラークの小説に、「2001 年宇宙の旅」というのがある。
スタンレー・キュービリック監督により映画化されていて、こちらの方がより有名なのかもしれないけれど。。。

それによれば、人類はその誕生の過程で、地球外の知的生物によって干渉を受けてきた。高度な知性を持った宇宙人は、地球上でも知的生物が生まれるように、サルを二本足で立たせたり、原生人類にさまざまな遺伝子操作を施しながら、その進化のプロセスに干渉してきた。これらの結果により誕生したのが、ぼくたち人類だったというわけだ。

今日、National Geographicの記事を読んでいたら、アーサー・C・クラークのこの小説を思い出してしまった。

Designing the Perfect Pet,
Can a fox become man's best friend?

野生のキツネを飼いならして、その中でもとくに人になついてくる個体を選別して、何世代にもわたってそれを繰り返していったら、犬のように人になつく(domestication)キツネが生まれるのか?
→domesticationを"家畜化"と訳すと嫌なニュアンスがあるので、domesticationの英語のままで使用することにした。

この場合、キツネのDNAに何らかの変遷が起きるのか?

この実験は、旧ソ連時代から、Dmitry Belyaev、Lyudmila Trut等が50年以上にわたって密かに行なってきたものだった。
(当時のソ連は、スターリンの庇護を受けた生物学者ルイセンコの教義が支配的で、メンデルの遺伝学は否定されていた。遺伝学は、遺伝子を通して個体特質が子孫に伝達されることを主張しており、これは社会の身分差別を正当化するためのブルジョワ学説だと非難されていた。)

Trutの回顧によれば、"These were the times when genetics was considered fake science."
→遺伝学が似非科学だと考えれれていた、そんな時代だった。

この実験を始めたBelyaevの兄は、収容所に送られてそこで亡くなった。
Belyaev自身も研究所での仕事を失ってしまった。

それでも実験は、動物の行動を調査するものだというカモフラージュの下で行われていた。

この実験の結果は驚くべきものだった!

キツネは2世代目で、人に対する攻撃的な反応がなくなった。
4世代目では、しっぽを振って自分から人に近づいてきた。
9世代目になると、人と一緒にいたがり、人の顔を舐めてくるようになった。


dom1.png
クリックすれば、拡大して表示されます。


まるで犬そのものだった。犬は15,000年ほど人類と共存しているのだけれど、実験結果はその進化の過程をわずか数世代に短縮したようなものだった。

次に、野生のキツネと比較して、DNAが同じなのか、変遷しているのかが調査された。

He wasn't just looking to prove he could create friendly foxs. He had a hunch that he could use them to unlock domestication's molecular mysteries.
→Belyaevは、人になつくキツネをつくれることを証明するだけだはなく、domesticationの分子レベルでの謎を解明することも可能だと思った。

たとえば、人に育てられたライオンは人になつくかもしれないけれど、その子供が野生のままだったら、人になつくことはない。"domestication"とは、こうした環境や個体の性格によるものではなく、DNAに組み込まれて、domesticationがその種に固有な特質にまでになっていることなのだ。

そして、domesticationに固有のDNAとして、WBSCR17が検出された。
→WBSCR17遺伝子は人間にもあって、遺伝子レベルでの適応障害の一つ。
これを持っていると過剰な社交性を示すようになるそうだ。(Williams-Beuren syndrome)

もっとも、domesticationは一つの遺伝子によるものではなく、いくつかの遺伝子の相互作用によるものだという見方が大勢だけれども。

また、この実験で面白いのは、domesticationのプロセスは、犬やキツネだけでなく人間にも適応されるということ。

The question of what is the difference between the domestic pig and a wild boar, or the distinction between a broiler chicken and a wild jungle fowl is similar to the question of what is the difference a human and a chimpanzee."
→豚とイノシシの違いは何か、にわとりと野生のファウルの違いは何かという問題は、人間とチンパンジーの違いは何かという問題に似ている。

Human beings are not simply domesticated chimpanzees, but understanding the genetics of domestication in chickens, dogs, and pigs may still tell us a surprising amount about the sources of our own social behavior.
→人間は、domesticatedされたチンパンジーだとは単純にはいえないけれど、にわとりや犬や豚などのdomesticationの遺伝子を理解することは、人間の社会的行動の源泉について何か教えてくれるのではないか。

最後に、この記事には、こんな主張があった。
"The most thoroughly domesticated species of all,-human beings."
→人類は、すべての生物の中でもっともdomesticatedされた種だ。

この場合のculpritは、アーサー・C・クラークが主張しているような宇宙人ではなく、人類自らが自分たちのdomesticationの進化のプロセスに干渉してきていたというのが、真実なのだろう。

[注] domesticationの意味、同化、家畜化、人になつくなど。

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