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ビックコミックの23号から、ジェームス・P・ホーガンの「未来からのホットライン」の連載が始まりました。
この作品は以前ブログで少し紹介したのですが、「星を継ぐもの」に並んで、ぼくの好きなホーガン作品でした。

星野之宣さんが、この傑作SFをマンガでどう再現するのか、とても楽しみです。


big3.png


「未来からのホットライン」は、ジャンルとしてはタイムトラベルものです。
現在の危機を救うために、過去に向かって警告メッセージを送信するという物語です。

たしか、通信の媒体としては反粒子が使われていた。
自分は、この分野の知識はあやふやなので間違っているかもしれません。(汗)
高エネルギー状態で、電子-陽電子を対消滅させると、正のエネルギーを持ったガンマ線などとともに、負のエネルギーを持った反タウ粒子パルス波も発生します。このパルス波は、時間軸を逆転して過去へ流れていくので、これを利用して過去との通信を試みるという物語です。たぶん、これはファインマンが提示した仮説に基づいているように思います。(ファインマンは、日本の朝永振一郎とともに1965年にノーベル物理学賞を受賞しました。)

もちろん、こうした試みには、常にパラドックスがついてまわります。
過去が原因で、未来はその結果だという因果律自体が否定されることになるから。

たとえば、マンガのバージョンでは、猫がティーカップを壊すから注意しろというメッセージが数分先の未来の自分から送られてきます。その結果、ティーカップが猫からどけられたので、ティーカップが壊れなかいという、新しい事態が発生します。
ティーカップが壊れた未来は、どこに行ったのか?
ティーカップが壊れないのなら、何故、このようなメッセージが未来から送られてきたのか?

こうしたパラドックスをめぐって、さまざまな仮設や解釈や議論が展開される。
「星を継ぐもの」でもそうだったけれど、ここが、ジェームス・P・ホーガンの真骨頂。

たとえば、彼の処女作、「星を継ぐもの」では、月の渓谷の中に、5万年前人間の遺体が発見されます。遺体の炭素同位体の崩壊率から、年代測定はほぼ間違いないことが確証されます。
5万年前の人類は誕生したばかりの旧石器時代。
月へ飛行する技術など持っているはずもない。

この謎を解明するために、さまざまな仮説や解釈や議論が展開される。
最期にはこの謎は解明されるのだが、これは、人類の誕生に関する謎でもあった。。。

「未来からのホットライン」に話をもどせば、パラドックスの解釈では、過去の出来事に干渉した結果、歴史が改変しても、その変化は瞬時に反映されて、その変化に基づいて、人間の意識も含めて、世界が再構築される。
その結果、歴史が改変されたという事実さえ意識にのぼることがない。

「未来からのホットライン」が提示する世界は、未来がいくつも無関係に枝分かれしていくという並行宇宙ではなく、過去から枝分かれした未来がいくつかあったとしても、それを構成する基本粒子は同じなのだから、互いに干渉しあうようにして一つの宇宙を構成するという、直列宇宙論の修正バージョンのような気がします。


big1.png


ネタバレになるのでこれ以上は書きませんが、この物語は人物設定も面白く、
ロマンスや思わぬどんでん返しなどもあって、SF好きでなくても、十分に楽しめる内容になっています。

次回のビッグコミックは、新年1号で、12月25日(明日)が発売予定。
個人的には、ビッグコミックでは、これと「憂国のラスプーチン」が好きです。

参考記事
「星を継ぐもの」、SF史上に燦然とかがやく傑作

マンガの絵は、ビッグコミックの1月25日号から借用しました。
「星を継ぐもの」は、星野之宣さんによってすでにマンガ化されています。
これも、おすすめですよ!
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コメント
漫画版「星を継ぐもの」は描写が細かく、ストーリーも壮大で、私も大好きな作品です。「未来からのホットライン」は今まで知りませんでした。ブログに書いてくださりありがとうございます!
2012/12/30(Sun) 20:53 | URL | Toku | 【編集
Re: tokuさんへ
コメント、ありがとうございます。
「星を継ぐもの」は、たしかにストーリーも壮大ですね。
原作は、4部作になっていました。

タイムトラベルものは、SF作家ならば一度は挑戦してみたいテーマなのでしょうね。
ファンタジーとしてではなく、ハードSF作家としてタイムトラベルを描くのなら、パラドックスをどう処理するかという難問が控えていますが。。。

ジェームス・P・ホーガンはうまく処理しているなと思いました。
2012/12/31(Mon) 08:42 | URL | sigeru | 【編集
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