上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
欧米のサイトで、どんな SF がオールタイムベストに選ばれているのか、調べてみた。
有名どころでは、David Pringle's the 100 Best Novels of SF などを含めて、いくつかのサイトを覗いてみた。
どこも、日本での評価とはまったく異なっていた。

あるサイトだと、ベスト10は、以下のようなランキングになっていた。⇒Top 100 Sci-Fi Books

① Dune (Frank Herbert)
② Ender's Game (Orson Scott Card)
③ The Foundation Trilogy (Isaac Asimov)
④ Hitch Hiker's Guide to the Galaxy (Douglas Adams )
⑤ 1984 (George Orwell)
⑥ Stranger in a Strange Land (Robert A Heinlein )
⑦ Fahrenheit 451 (Ray Bradbury)
⑧ Neuromancer ( William Gibson)
⑨ 2001: A Space Odyssey (Arthur C Clarke)
⑩ Do Androids Dream of Electric Sheep? (Philip K Dick)

この選択は、個人的には、非常に不満だし承服もできない。(以下、作品名は日本語タイトルにしています。)

Dune や 『エンダーのゲーム』 がアメリカで評価が高いは分かるが、1位と2位になる作品ではないだろう。
6位に、ロバート・A・ハインラインの 『異星の客』 が入っている。
日本でロバート・A・ハインラインのベスト作品をあげれば、ぶっちぎりで、『夏への扉』 が選ばれるはずだ。(ぼくとしては、Starship Troopers をあげたいが。)

このサイトは、作品としての素晴らしさよりも、映画化されてヒットした原作を中心に選んでいるように思う。
2位の『エンダーのゲーム』は、ギャビン・フッド監督により、2013年に映画化された。
8位の 『Neuromancer』 は、大ヒット映画 『マトリックス』 のモデルになっていたし、サイバーパンクというジャンルを生み出した作品だ。
9位の 『2001年宇宙の旅』 も、スタンリー・キュービックによって映画化され大ヒットした。(個人的には、アーサー・C・クラークのベスト作品は、『2001年宇宙の旅』 ではなく、『幼年期の終り』 だと思う。)
10位の 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 も、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画、 『ブレードランナー』 のモデルになった作品だ。

このサイトで何よりも不満なのは、ジェームス・P・ホーガンの 『星を継ぐもの』 が選ばれていないことだ。(他のサイトもいくつか見たが、どれもホーガンは選ばれていなかった。)
ぼくは、『星を継ぐもの』 は、SF 史上に燦然とかがやく傑作だと思っているので、これにはちょっと納得ができない。
ちなみに、『星を継ぐもの=Inherit the Stars 』 というタイトルの由来は、主人公の一人、ダンチェッカー博士の次の言葉からきている。

"And so, gentlemen, we inherit the stars. Let us go out, then, and claim our inheritance. We belong to a tradition in which the concep of defeat has no meaning. Today the stars and tomorrow the galaxies. No force exists in the Universe that can stop us."

『だから、みなさん、私たちがこの星々を受け継いだのだ。だったら、行って、その相続を主張しようではないか。私たちの伝統では、敗北という概念は意味を持たない。今日は太陽系、明日には銀河系の外へ出ていく。私たちを止める力は、この宇宙には存在しないのだ。』

あまりに能天気だが、ぼくは、ホーガンのこうした無邪気な楽天主義が大好きだ。(爆)
ぼくも、一人のエンジニアとして、ホーガンみたいに科学と技術の進歩を信じたい。
とくに福島原発事故以来、科学への信頼がうすれて、非科学的なカルト主義が蔓延しているように思うから。

ホーガン作品では、『星を継ぐもの』 以外に、『創世記機械』、『未来からのホットライン』 なども好きだった。
日本語訳は読んでいないが、原文はどれも簡明で分かりやすい英語だった。英語リーディングの学習をやられていて、SF 好きな人は、是非、ホーガンの原書に挑戦してみてください。

『創世記機械』のメインプロットは、自然界の4つの力を一つに統合した統一場理論。もちろん、架空の理論なのだが、途中、物理学の教科書のような解説が続く。(爆)

『未来からのホットライン』 に関しては、以前、このブログでも少し解説した。
常温核融合、マイクロブラックホール、反粒子を使った過去との通信など、SF おたくが泣いて喜ぶプロットが盛り沢山なのだが、その一部を引用すれば、

⇒ビッグコミックから、「未来からのホットライン」の連載がはじまる!

自分は、素粒子物理学の知識はあやふやなので間違っているかもしれません。(汗)
過去への通信の媒体としては、時間軸を逆に進む"反粒子"が使われていた。高エネルギー状態で、電子-陽電子を対消滅させると、正のエネルギーを持ったガンマ線などとともに、負のエネルギーを持った反粒子パルス波も発生する。このパルス波は、時間軸を逆転して過去へ放出される。この性質を利用して、過去との通信を試みるという設定。たぶん、これはアメリカの物理学者ファインマンが提示した仮説に基づいていると思う。ファインマンは、日本の朝永振一郎とともに1965年にノーベル物理学賞を受賞している。

『星を継ぐもの』 についても、以前、ブログに書いた。
ネタバレしないように、ストリーのさわりを引用すれば、

⇒「星を継ぐもの」、SF 史上に燦然とかがやく傑作

205X年の近未来。
月の資源の調査をしていた一行が、月の渓谷の中に人間の遺体を発見する。
調査の結果、この人間は月面基地のどこの部署にも所属していないこと、さらには5万年前に死んだ人間の遺体だということが判明する。(遺体の炭素同位体の崩壊率から、年代測定はほぼ間違いないことが確確認された。)
5万年前の人間の遺体が、何故、月の渓谷にあるのか?
当時は人類は誕生したばかりで、月旅行に出かける技術を持っているはずもないのに。

この謎の解明に向かって、世界中からさまざまな分野の学者たち、医者、歴史学者、言語学者、考古学者、人類学者、生物学者、遺伝学者、物理学者などがチームを組んで挑戦していく。

それは、人類の由来、失われた惑星、太陽系の起源という壮大なミステリーへの挑戦でもあった!

ジェームス・P・ホーガンの作品は、どれも壮大なホラ話なのだが、豊かな想像力と、それを裏つける科学理論のディティールの確かさが読んでいてとても心地よい。たとえ、それが架空の理論であっても。
これこそが、まっとうな SF 作品だ!



↑ 『星を継ぐもの』 と、その続編、『ガニメデの優しい巨人』 を収録。どちらも、文句なしの傑作。それを1冊にまとめてこの値段だから、驚異のコスパだと思う。
スポンサーサイト
コメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。