いまさらですが、先日、村上春樹の 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 を読みました。(爆)
あれだけ売れた本だから、これもいまさらなのですが、ネタバレに注意してさわりを書けばだいたいこんな感じかな。

高校からずっと、多崎つくるにはいつも一緒に過ごす仲の良い5人組がいた。
20歳になったある日、突然、彼らから絶交を宣言された。
多崎つくるにはその理由がまったく分からなかった。
この事件は彼を深く傷つける。
一時期、つくるは自殺を考えたくらいだ。
傷は癒されず、つくるは誰に対しても心を閉ざす青年になった。
彼は生き残ったが、ある意味、生きながら死んでいる状態であった。

つくるは36歳のとき、東京の恵比寿のバーである女性と出会い、軽いのりでナンパした。
彼女の名前は沙羅というのだが、彼女はつくるとのベッドトークの中で、つくるが心に何かしらの問題をかかえていることに気づく。
そしてその原因が、20歳のとき無二の親友だった5人組から理由も分からず追放された体験にあると見抜く。
沙羅はつくるに、つくるが追放された真相を究明するために、16年ぶりにかっての仲間に会いに行くように強く求める。
『神曲』の中で、ダンテを天国へ導くベアトリーチェのように、沙羅は人生の暗い森の中に迷い込んだつくるを救済しようとするのだ。(爆)
こうして沙羅のアドバイスのもとで、多崎つくるは16年前の真実に向き合う。
つくる君は彼の 『巡礼の年』 へと第一歩をふみ出すのだ。(会社には有給休暇を申請した。)

つくるが5人組から追放された理由は何だったのか?
5人組の仲間の1人、つくるがひそかに思いを寄せていたシロという呼び名の女性の死の真相は?
沙羅の正体は?

以下はリストのピアノ曲集、『巡礼の年』の中の、Le mal du pays。
つくるの記憶の中で、シロはいつもこのピアノ曲を引いていた。




『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 は、英訳で読みました。
『ノルウェーの森』でも思ったのですが、村上春樹は英文で読んでもおもしろい。むしろ、英文で読んだ方がおもしろいくらい。
翻訳でも作品のテイストがあまり落ちないというのも、村上春樹が海外で人気のある理由の一つなんでしょうね。(サリンジャーやスコット・フィッツジェラルドなどのアメリカ作家が描く世界にあこがれていた村上春樹は、翻訳調のバタ臭い日本語を使って小説を書く。)
もちろん、翻訳者のレベルが高いというのが一番の理由なのですが、それはおいといて。

それから、アンチ村上春樹の人も英訳で読むと好きになるかもしれませんよ。
アンチの人は彼のクセのある文体が嫌いなのかもしれないから。

たとえば、以下のような文。
『真夜中の悪魔のように熱くて濃いコーヒーが彼女の好みだ。 しかしそれはおそらく昼下がりの温室には馴染まない飲み物だった』
ぼくなんか素直に、『彼女は普段は熱くて濃いコーヒーが好みだ。しかし午後のクソ暑い温室の中でそれを飲もうとは思わなかった』 と書けばいいように思うのだが・・・。
これが英文だと、
She preferred coffee as hot and strong as a devil at midnight, but perhaps that was not a drink suited to a hothouse in the afternoon.

英文で読むと、そんなに違和感がない。(爆)

これ以外でも、『虫が脱皮するようにもぞもぞと、彼女はコートを脱いだ』とか、『彼の意識は記憶の羊水に浮かび、過去からのこだまを聞き取っている』 とか、比喩がいちいちぎょうぎょうしいように思うのだが、英文で読めばそんなにイラッとこないかも。(爆)

参考記事
あるいはオイラーの公式のように、毅然としていればいいのだ・・・
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